先月の京都特集に続き、今号は奈良を特集いたしました。奈良は今、来年の「平城遷都一三〇〇年祭」を目前に控えて最も旬な場所です。毎年三〇万人を動員する正倉院展はもちろんのこと、今秋は興福寺国宝特別公開をはじめ、大規模修理を終えた唐招提寺の落慶法要など、滅多に見ることができない貴重な特別展が目白押しです。国宝の阿修羅像は東京と福岡の「国宝 阿修羅展」で約一六〇万人を魅了しましたが、今秋の興福寺ではガラスケースの中ではなくお堂の中に配置されていた天平時代の本来の姿で、再び私たちの前に現われてくださいます。恒例の「正倉院展」も今年は天皇陛下御在位二〇年を記念して、代表的な名品が出陳されます。来年に節目を迎える奈良は、一三〇〇年前の人々が見ていた風景を今でも探すことができる日本のまほろばです。例年以上に知的な刺激で満ちた今秋の奈良を、いち早く誌上でお楽しみいただけましたら幸いです。
今年は向田邦子さんの生誕80年にあたり、記念の全集出版や向田さんの脚本によるドラマが放映されるなど、ファンには嬉しい年となっております。今号は連載のスペシャル版として、人をもてなすことが大好きだった向田さんの気取りのない美味しいレシピを、妹の和子さんに再現していただきました。お客様と一緒に楽しむことを大切に、しかもあり合わせの食材で手早く作れることを信条としたメニューは、向田さんのお人柄がそのまま反映されたものばかり。向田さんが愛用されていた器も併せてご覧くださいませ。
向田さんが器以上にこだわりをお持ちだったのが包丁ですが、日本製の包丁に外国人シェフたちの熱い視線が寄せられています。私たちが普段あたり前のように使っている調理用具が、これほどまでに外国人を感激させていたとは…。「外国人シュフは日本の調理用具に夢中!」は日本製品の素晴らしさを再認識させられる企画です。
先月号にて詳しくご紹介した通り、今月の表紙に使用した小林古径の作品を多数所蔵する山種美術館が、10月1日に新しく生まれ変わりました。千代田区時代の約2倍というスペースで心ゆくまで美術品を鑑賞できます。
出演/檀れい撮影/中村カズ
スタイリスト/小倉真希
ヘア&メーク/三上宏幸(ペインツ)
構成/高木史郎・梅原典子(本誌)
衣裳協力/ドレス¥726,600 ネックレス¥172,200
(ランバンジャパン〈ランバン〉)
画/『秋※采』(部分) 小林古径筆(山種美術館蔵)
※正しくは「秋」の異体字で、辺とつくりが逆
菊文はもともと皇室文として品格と格式を持つ文様ですが、この大判菊文はその名の通り、唐紙文様の中でも、かなり大柄に表現されています。これは恐らく皇室に関わる寺などの、壁に使われたと思われます。この菊文のように影文と日向文の組み合わせは家紋から引用された唐紙文様の中にも数多くあります。
せんだけんきち
1942年、京都市生まれ。京都工芸繊維大学卒。
’75年、唐紙制作工房唐長十一代目を継承。’99年国選定保存技術保持者に認定される。
































