少しずつ葉桜となり、行く春が惜しまれる季節となりましたが、皆様にはお健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。平素は和樂をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。
今月号は巻頭にて、歌舞伎役者の坂東玉三郎さんによる「ありがとう、歌舞伎座」をお届けいたします。銀座の歌舞伎座はいよいよ今月の公演を最後にリニューアル工事に入りますが、本企画は2月のさよなら公演から4月28日の歌舞伎座最後の公演まで、記憶にとどめておきたい歌舞伎座のさまざまな場所で、写真家の篠山紀信さんが玉三郎さんの美しい姿を撼影したものです。読者の皆様には今月から3か月連続で、最終公演を終えた後の玉三郎さんの表情までご覧いただく予定でおりますが、本企画の写真は50年以上歌舞伎座と関わってこられた玉三郎さんと、40年間玉三郎さんを撮り続けてこられた篠山さんとの歌舞伎座最後の共同作業であり、これまでとは違う表情を皆様に感じ取っていただけることと思います。1年以上続いたさよなら公演は激しいチケット争奪戦が続いたと聞きますが、運よくご覧になられた方も、残念ながらご覧いただけなかった方も、様々な人の思いが約60年堆積して独自の美を生み出した歌舞伎座の隅々までを、本企画で記憶にとどめていただけましたら幸いです。6月号、7月号は10ページずつ最終日の公演写真までお届けし、その後は写真集として出版予定でおります。どうぞ楽しみにご覧くださいませ。
今、日本の工芸はそのままKOGElという言葉で世界に通用するほど世界中のさまざまな街で人気沸騰中ですが、第二特集ではそんな伝統工芸の新しい取り組みを特集いたしました。美しきと質の高さで、世界的にもレベルの高い品であふれている日本の工芸は、私たちの現代の暮らしにもっと取り入れることで、次世代につないでゆきたいものです。今回、東京の日本橋三越本店で開催される「東日本伝統工芸展」と和樂との新しい取り組みとして、展示作品の中から“和樂賞”を設けさせていただきました(75ページ〜)。受賞作品は4月21日〜26日まで展覧会場にてご覧いただけます。たくさんの作品の中から、是非和樂賞作品を見つけていただき、その素晴らしさを間近でご鑑賞ください。
明治時代に岡倉天心のもと、新しい日本画を追いもとめた菱田春草。それまでの日本画の常識だった輪郭線を廃し、独特のやわらかい表現を確立。代表作の『白牡丹』の優雅さと、やわらかなドレスがりんとした女性の美しさを際立たせる。
出演/鈴木京香 撮影/浅井佳代子
スタイリスト/小倉真希
ヘア&メーク/稲垣亮弐
(マロンブランド)
構成/高橋木綿子・梅原典子(本誌)
衣裳協力/ロングドレス\697,200
(エルメスジャポン〈エルメス〉)
ベルト/スタイリスト私物
画/『白牡丹』
菱田春草筆(山種美術館蔵)
この雲龍文はかなりデフォルメされていて、雲はともかく龍とは分かりにくい文様です。しかし、よく見ると可愛らしく龍の頭があり、体全体が巻いているのが見受けられます。これは恐らく織物の写しで織りの制約もありますが、かなり抽象化された文様と言えます。そしてまた雲と龍は共に瑞祥文様で衣料、金工等いろいろな分野に使われて来ました。
せんだけんきち
1942年、京都市生まれ。京都工芸繊維大学卒。
’75年、唐紙制作工房唐長十一代目を継承。’99年国選定保存技術保持者に認定される。



































