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2009年11月号 第六回 長野 秋風に吹かれて街道散歩 海野宿へ
東信州の秋風を感じて歩きたい散歩道が、長野県東御市にあります。かつて北国街道の宿駅として栄えた町で、江戸時代の旅籠屋造りの建物などが美しい風情を残しています。11月23日には「海野宿ふれあい祭」も開催。江戸時代の町人の旅装束をイメージした仮装行列が練り歩き、おはぎやほうとうが売られます。
■江戸から明治の歴史が息づく
長野新幹線の上田駅から、しなの鉄道に乗り換えて大屋駅へ。駅からテクテクと約20分ほど歩くと、端正な町並みが現れます。海野宿です。歴史的な建物がずらり並ぶ様はなかなかのもの。端から端まで歩くと約800メートル。通りの中央には用水が流れ、両脇に、うだつや格子戸(海野格子)が美しい一軒一軒が並んでいます。行きは片側をじっくり眺め、帰りはもう片側も…たっぷり歩いて堪能したいところです。
ここは、古くは平安時代から戦国時代まで、中世の豪族、海野氏の本領でした。海野氏は、戦国大名の真田氏の祖といわれ、両氏の氏神を祀る白鳥神社が、今もその歴史を伝えています。寛永二年(1625年)になると、中山道と北陸道を結ぶ北国街道の宿駅が開設され、海野宿として賑わいました。参勤交代を行う北陸の諸大名や、善光寺への参拝客など、多くの旅人の往来があったそうです。明治時代になると、養蚕、蚕種業の町へと移り変わります。その歴史を伝えるように、海野宿には、江戸時代の旅籠屋造りの建物と明治、大正時代の蚕室造りの建物が混在し、目を楽しませくれます。

■生活空間と、旅人を招く場所と
海野宿は、いわゆる観光地として整備されすぎていないところが、魅力のひとつです。多くの建物が今も地元の方々の住居などとして使われており、通りから外観を眺めるだけの場所もあります。商店や資料館では、建物の中に入り(敷地は裏手まで奥深く伸びています)その空間を味わうことができます。写真左から3点は、ガラス工房とカフェを併設した「橙」。東御産のクルミを使った、オリジナルの「胡桃ガラス」の器などもありました。クルミの殻を灰にしてガラスの原料に混ぜると、柔らかい緑色になるそうです。

■足を伸ばして島崎藤村ゆかりの宿へ
上田駅から車で約20分ほどの青木村へ。山あいの小さな温泉郷、田沢温泉には若き日の島崎藤村が逗留した宿「ますや旅館」(写真左から3点)があります。細い石畳の坂道を歩くと、硫黄の匂い。聞こえるのは、川のせせらぎと虫の声。明治時代からの木造三階建ての建物はひっそりと立っています。「藤村の間」(写真中左)から、暮れていく浅間の山々の色合いを眺める…それだけで贅沢なひとときです。信州サーモンや鯉のお造り(写真中右)、松茸など秋の味覚も。翌日は、近隣の大法寺もおすすめです。国宝の三重塔(写真右)は、軒の長い独特の工法が特徴で、ゆったりとした魅力を湛えています。その美しさから「見返りの塔」とも呼ばれています。


















